- Vertex AIはGoogleが提供する機械学習・生成AIの統合プラットフォームで、モデル自体ではなく開発・運用のための基盤である
- Geminiをはじめ200を超えるモデルを扱えるModel Garden、AIエージェント構築のためのAgent Builder、独自データを活用するRAG Engineなどが主要機能
- 料金は使った分だけ支払う従量課金制が基本で、初期費用は不要
- 2026年には「Gemini Enterprise Agent Platform」への統合が進み、名称や機能の位置づけが大きく変わりつつある
- 開発者だけでなく、AIエージェントやRAGを使った業務効率化に関心のある人にとっても押さえておきたい基盤サービス
Vertex AIとは何か
Vertex AIは、Googleが手がける機械学習・生成AI向けの統合プラットフォームです。ここで誤解しやすいのは、Vertex AI自体が一つのAIモデルというわけではない点です。実際には、Geminiをはじめとする多様なAIモデルを選択・カスタマイズ・運用するための「土台」にあたるサービスとして位置づけられています。
もともとは機械学習モデルの開発・トレーニング・デプロイをワンストップで行える基盤として展開されてきましたが、生成AIブームを経て、Geminiをはじめとした大規模言語モデルの活用基盤としての役割が急速に大きくなっています。企業がチャットボットや業務自動化エージェントを構築する際の中核インフラとして採用されるケースが増えているのも特徴です。
主な機能を整理
Vertex AIには複数の機能群が用意されており、目的に応じて組み合わせて使うことができます。ここでは代表的な3つの機能を紹介します。
Model Garden
Model Gardenは、Googleが提供するGeminiシリーズだけでなく、外部のオープンモデルやパートナー企業のモデルまで含めて200種類を超えるモデルを一覧・比較しながら選べるカタログ機能です。用途や予算に応じてモデルを切り替えられるため、特定のモデルに縛られない柔軟な開発が可能になります。
Agent Builder / Agent Garden
Agent Builderは、AIエージェントを構築するための機能群です。関連する「Agent Garden」では、ゼロから設計する手間を省くための再利用可能なテンプレートやコンポーネントが用意されており、エージェント開発のハードルを下げる工夫がされています。
RAG Engine
RAG Engineは、社内文書や独自データを検索し、その内容を踏まえた回答をAIに生成させる「検索拡張生成(RAG)」の仕組みをフルマネージドで提供する機能です。ベクトルデータベースを自前で用意する方法にも、Google側で管理を任せる方法にも対応しており、用途に応じて選べる柔軟さがあります。Geminiとネイティブに連携できる点も強みです。
| 機能名 | 主な役割 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| Model Garden | 多数のモデルから選択・比較 | 用途に合うモデル選定 |
| Agent Builder | AIエージェントの構築・管理 | 業務自動化・チャットボット |
| RAG Engine | 独自データを踏まえた回答生成 | 社内文書検索・FAQ対応 |
料金の仕組み
Vertex AIの料金体系は従量課金制が基本です。サブスクリプションのように毎月固定額を支払うのではなく、実際に使ったモデルの学習や推論に応じて計算リソース分の料金が発生する仕組みになっています。処理は細かい単位(数十秒単位)で課金されるため、使った分だけ支払う実感を持ちやすいのが特徴です。
2026年最新動向|Gemini Enterprise Agent Platformへの統合
2026年に入り、Vertex AIを取り巻く状況は大きく動いています。Googleは大型カンファレンスの場で、Vertex AIの機能を「Gemini Enterprise Agent Platform」という新しいブランドへ段階的に統合していく方針を打ち出しました。あわせて、社内検索やエージェント連携を担っていた別サービスもこの新プラットフォームに統合される形となっています。
新しいプラットフォームでは、複数のエージェントを可視化しながら組み立てられる設計画面や、稼働中のエージェントを一覧管理する仕組み、エージェントの動作状況を継続的に監視する機能などが加わりました。単体のエージェントを作ることから、組織全体で多数のエージェントを安全に運用・統制することへと、重視されるポイントが広がっている印象です。
| 項目 | これまで | 2026年以降の方向性 |
|---|---|---|
| プラットフォーム名 | Vertex AI | Gemini Enterprise Agent Platformへ統合 |
| エージェント管理 | 個別のエージェント単位で構築 | 複数エージェントを一元管理・監視 |
| 開発用SDK | Vertex AI SDK | Gen AI SDKへ順次移行 |
モデルのアップデート状況
Vertex AIを通じて使えるGeminiシリーズも、2026年に入って活発にアップデートされています。長文の処理能力やマルチモーダル対応(テキストだけでなく画像・音声・動画・PDFなどをまとめて扱える力)が強化された新世代モデルが登場したほか、画像生成・動画生成・音声合成それぞれに特化した派生モデルも相次いで公開されました。
活用シーン
Vertex AIは開発者だけのものではなく、業務効率化やサービス開発を検討する幅広い立場の人にとって関係のあるプラットフォームです。
利用にあたってのポイント
これからVertex AIやその後継となるプラットフォームを検討する場合は、まず小規模な用途から試してみるのが現実的です。従量課金のため大きな初期投資をせずに始められる一方、モデル選定やデータ整備が結果を左右するため、目的を明確にしたうえで機能を選ぶことが重要になります。
まとめ
Vertex AIは、Geminiをはじめとする多様なAIモデルを選び、育て、運用するためのGoogleの統合プラットフォームです。Model Gardenによる豊富なモデル選択、Agent Builderによるエージェント構築、RAG Engineによる独自データ活用という3本柱を中心に、企業のAI活用を支えてきました。2026年にはGemini Enterprise Agent Platformへの統合という大きな節目を迎えており、複数のAIエージェントを一元的に管理・監視する方向へと進化しています。従量課金で始めやすい仕組みは維持されつつ、開発時に使うSDKなど実務面での変更点も出てきているため、既存ユーザーも新規に検討する人も、最新の動向をこまめに確認しながら付き合っていくとよいでしょう。
Vertex AIの基礎知識|Gemini Enterprise移行後の変更点をまとめました
Vertex AIはAIモデルそのものではなく、Geminiなどのモデルを選択・カスタマイズ・運用するための基盤であること、Model Garden・Agent Builder・RAG Engineという3つの主要機能があること、料金は従量課金制であることを押さえておけば、基本的な理解は十分です。そのうえで、2026年に進むGemini Enterprise Agent Platformへの統合という変化を知っておくと、これから情報収集をするうえでの見通しが立てやすくなります。名称や機能の位置づけが変わる過渡期だからこそ、公式情報を継続的にチェックする姿勢が役立ちます。



















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