ベクターデザインの定番ツールに搭載されたAI生成機能は、テキストを入力するだけでイラストやパターン、配色案を作れる仕組みとして注目を集めている。ここでは主要な機能の違いと、使いこなすためのポイントを整理する。
- 生成ベクターはプロンプトからベクターイラストを直接作成できる
- 生成塗りつぶしは選択範囲だけをAIで描き直せる
- 生成パターンは繰り返し柄をプロンプトで量産できる
- 生成再配色は配色のバリエーションを一瞬で試せる
- 生成物はグループ化された状態で書き出されるため編集には一手間が必要
イラレのAI生成機能とは何ができるのか
ベクター編集ソフトに組み込まれた生成AI機能は、文章で作りたいイメージを伝えるだけでベクターデータを自動で作成してくれる仕組みだ。写真のようなラスター画像を生成する一般的な画像生成AIとは異なり、拡大縮小しても劣化しないパスデータとして出力される点が大きな特徴になっている。
基盤になっているのはベクター生成に特化したAIモデルで、数千万点規模のベクター素材を学習に使ったとされている。そのため線や面で構成された一般的なイラスト表現との相性がよく、アイコンやロゴ素材のたたき台づくりに向いているという評価が多い。
現在のイラレでは、主要な生成機能が生成ベクター・生成塗りつぶし・生成パターン・生成再配色の4つに整理されている。いずれも画面下部に自動で表示される操作バーや、メニューから呼び出せるようになっており、特別な設定をしなくてもすぐに試せるのが使いやすい点だ。
生成ベクターで文字から直接ベクター画像を作る
生成ベクターは、作りたいイラストの内容を文章で入力すると、その場でベクター画像を複数パターン生成してくれる機能だ。「シンプルな線画の植物イラスト」「フラットデザインの街並み」といった具体的な言葉を入れるほど、イメージに近い結果が得やすいと評価されている。
プロンプトのコツとして、「何を描くか」に加えて「どんなスタイルか」(線画・フラット・水彩調など)、「どんな配色か」を一緒に伝えると、調整の手間が減りやすい。曖昧な単語だけだと、意図と離れた結果になりやすい点は知っておきたい。
生成された候補の中から気に入ったものを選べば、そのままベクターオブジェクトとしてアートボードに配置される。手描きでゼロから作るよりも、方向性を決めるためのラフ案づくりとしての使い方が特に相性が良いといえそうだ。
生成塗りつぶしで一部だけをAIに描いてもらう
生成塗りつぶしは、既存のシェイプやパスを選んだ状態でプロンプトを入力し、その範囲だけをAIに描き直してもらう機能だ。ロゴの一部分だけを装飾したい、背景の一部にテクスチャを足したいといった、部分的な調整をしたい場面で使いやすい。
既存デザインの雰囲気に合わせて新しい要素を加える「スタイルを合わせる」系の機能も用意されており、すでにあるデザインの統一感を保ちながら要素を増やしたいときに役立つとされている。
範囲を指定してから生成するという操作の流れは、画像編集ソフトの生成塗りつぶしに近い感覚で扱える。ベクター特有の「線でできている」という性質を保ったまま部分編集ができるのは、この機能ならではの強みだ。
生成パターンで背景やテクスチャを量産する
生成パターンは、モチーフとなる図形やイラストを選んだ状態で「オブジェクト」メニューから呼び出し、作りたい柄の説明文を入力すると、繰り返し柄のパターンを数十秒ほどで自動生成してくれる機能だ。生成結果は複数のバリエーションとして提示されるため、その中から好みのものを選ぶ流れになる。
背景のテクスチャ素材や、パッケージ・テキスタイル風のデザインのたたき台を作りたいときに特に向いている。植物モチーフや幾何学模様など、具体的な対象物を指定するほど狙った雰囲気に近づけやすい。
生成されたパターンはそのままスウォッチとして登録できるため、他のオブジェクトの塗りに適用して使い回せるのも実務的に便利なポイントといえる。
生成再配色で配色パターンを一瞬で試す
生成再配色は、作成済みのベクターイラストの配色だけを、プロンプトまたは手動の操作で変更できる機能だ。「秋らしい暖色系」「落ち着いたパステルカラー」のように雰囲気を言葉で伝えるだけで、複数の配色案を比較できる。
配色の試行錯誤は意外と時間がかかる作業のひとつだが、この機能を使えば同じ構図のまま配色だけを量産できるため、クライアント提案用に複数パターンを用意したい場合などに時間短縮の効果が期待できる。
コンセプトからベクター生成でスケッチをデータ化する
手描きのスケッチや参考にしたい画像を取り込み、それをもとにベクターデータへ変換する機能も用意されている。紙に描いたラフ案や、イメージに近い参照画像をアップロードすると、その雰囲気を踏まえたベクターイラストの候補が作成される仕組みだ。
この機能はより高度な生成機能として位置づけられており、利用にあたって消費するクレジット数が他の機能より多めに設定されている場合がある。頻繁に使う予定がある場合は、契約プランの生成クレジットの残量を意識しておくとよい。
生成したオブジェクトを編集するときの注意点
AIで生成したベクターオブジェクトは、生成直後は複数のパスがひとつにグループ化された状態になっている。個別のパスや色を細かく調整したい場合は、グループを解除してから作業する必要がある点は覚えておきたい。
また、生成したオブジェクトを選択した状態でメニューから呼び出せる「プロンプトで編集」という機能を使うと、ゼロから作り直すのではなく、追加の指示文を入れて結果を微調整することができる。狙った色味や構図に近づけたいときに便利な操作だ。
生成結果が気に入らない場合でも、プロンプトを変えて再生成すればよいため、気軽に何度か試してベストな案を選ぶという使い方が現実的だろう。
AIアシスタント(ベータ)で制作作業そのものを自動化
生成機能とは別に、自然言語での指示でドキュメントの分析や制作作業そのものを自動化するAIアシスタントがベータ版として提供されている。ファイルの内容を読み取って問題点を指摘したり、作業の提案をしたりといった、より進んだサポートを目的にした機能だ。
対象アプリには画像編集ソフトやベクター編集ソフト、動画編集ソフトなども含まれており、クリエイティブ系アプリ全体をまたいで使えるアシスタントとして設計されている。ベータ期間中は専用の生成クレジットが日次で付与される仕組みも用意されているとされる。
利用できるプランと生成クレジットの考え方
これらの生成AI機能は、契約しているプランに応じて毎月一定数の生成クレジットが付与され、それを消費しながら利用する仕組みになっている。クレジットを使い切った場合でも、生成自体は低速モードで継続できるとされており、急に使えなくなるわけではない点は安心材料といえる。
| 機能 | できること | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 生成ベクター | 文章からベクターイラストを新規作成 | アイコンやラフ案づくり |
| 生成塗りつぶし | 選択範囲だけをAIで描き直す | 既存デザインの部分修正 |
| 生成パターン | 繰り返し柄の自動生成 | 背景・テクスチャ素材 |
| 生成再配色 | 既存イラストの配色変更 | 配色提案の量産 |
公式サイトでは機能ごとの詳しい解説やチュートリアルが公開されているので、実際に試す前に目的に合う機能を確認しておくとスムーズだ。
いずれの機能も、ゼロから手作業で仕上げるというよりは、アイデア出しや初稿づくりの時間を短縮する補助役として位置づけるのが実情に近い使い方だろう。最終的な仕上げは手作業で整える前提で活用すると、無理なく日々の制作に取り入れやすい。
まとめ
イラレのAI生成機能は、生成ベクター・生成塗りつぶし・生成パターン・生成再配色という4つの機能を中心に構成されており、それぞれ「新規作成」「部分修正」「柄の量産」「配色の量産」という異なる役割を持っている。生成結果はグループ化された状態で出力されるため、細かい調整が必要な場合はグループ解除や「プロンプトで編集」機能を使うとよい。さらにAIアシスタント(ベータ)のような制作作業全体を支える機能も広がりつつあり、プロンプトの工夫次第でアイデア出しから初稿づくりまでの時間を大きく短縮できる可能性がある。まずは生成クレジットの範囲内で気軽に試し、自分の制作フローに合う使い方を見つけていくのがおすすめだ。
イラレのAI生成機能の使い方|4つの違いとプロンプトのコツをまとめました
生成ベクターで新規イラストを作り、生成塗りつぶしで部分修正、生成パターンと生成再配色で柄や配色のバリエーションを量産するという役割分担を押さえておけば、目的に応じて迷わず機能を選べるようになる。プロンプトには対象・スタイル・配色の3点を具体的に書き込むことを意識すると、狙った仕上がりに近づけやすい。生成物はグループ化されている点と、クレジットの消費量は機能によって異なる点にも注意しながら、日々の制作に無理なく組み込んでいきたい。



















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